今オフィスに導入したい「ABW」意味・方法・事例などを徹底解説!
“ABW”というワードは、オフィス作りに関わっていない人でも、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
仕事が、時間や場所に縛られるものからもっと自由度の高いものへと変化している今、ABWは今の時代に最もマッチしたワークスタイルと言えます。
そこで今回は、ABWの成り立ち、必要な要素、導入することで得られるメリットなどを解説するとともに、フリーアドレスとの違いや小規模オフィスで導入するためのポイントなどをまとめました。
最後には、ABWスタイルのオフィスデザイン事例もご紹介していますので、ぜひご参考にご覧ください!
新しい働き方にベストマッチ!ABW型オフィスとは?
ABWとは、“業務内容や活動、目的に合わせて、社員が働く時間・場所を自由に選ぶことのできるワーキングスタイル”を指します。
オランダ発のグローバル企業「Veldhoen + Company」が提唱したもので、Activity Based Workingの頭文字を取って、ABW(エービーダブリュー)と呼びます。
同社によると、広義では「企業の文化や事業成長に繋がる働き方を見つけ出すための手法」を意味しているのだそうです。
●ABW型オフィスに必要な要素
ABWを効果的に実現するには、下記のような要素が必要となります。
・働く時間や場所を自由に選べる企業体制
・厳しい管理・監督をしなくても、社員が成果を出せる組織体制や環境作り
・業務内容や目的別にデザイン・レイアウトされた多種多様な業務スペースの設置
・社員同士の交流やコミュニケーションが活性化する空間デザイン
・リモート環境でも滞りなく業務できるペーパーレス化とデジタルツールの導入
●コロナ禍で注目が集まっている理由
ABWは、最新のワーキングスタイルとして世界中の企業で導入されてきましたが、コロナでテレワークや時差出勤が増え自然とABWに必要な要素が整ったことで、今ますます注目が高まってきています。
ABW型オフィスのメリットとよくある課題&解決策
ABW型オフィスは、会社や社員に様々なメリットをもたらします一方で、実際に導入した企業では様々な課題も浮かび上がってきています。
●ABW型オフィスのメリット
①社員のモチベーションがアップする
→働く時間や場所などの自由度が上がることで、社員の業務に対するやる気が自然とアップします。
②社員のパフォーマンスが向上する
→例えば、集中したい時は静かなブース席、アイデアを練りたい時は開放感のあるカウンター席など、業務内容に応じて環境を変えられることが、パフォーマンスに良い影響を与えます。
③社員のライフワークバランスが改善される
→自宅での業務も可能なため、移動など無駄時間が削減でき、プライベートの時間を増やす事が可能になります。
④組織としての視野が広がる
→これまで惰性的に続けていた社内の規則やルールが見直され、組織として広い視野を持つことができるようになります。
⑤オフィスデザインの自由度が高まる
→固定席を確保する必要がないため、好きなようにレイアウトや内装を考えることができます。
⑥オフィスにかかるコストが最適化される
→ABW型オフィスにすることで無駄なスペースを無くせるなど、スペース効率をアップさせることができます。
また場合によってはオフィスを縮小することも可能になります。
●ABW型オフィスにおいてよくある課題と解決策
①オフィスが使いにくくなった
→ABWの意義やABW型オフィスの有効な活用方法などを、きちんと社員に伝える必要があります。
②マネジメントがしづらい
→リモートでも管理できるよう、ツールを導入したり人事評価制度を見直したりと新しいマネジメントスタイルを作る必要があります。
・セキュリティ面が心配
→PCやネットのセキュリティ対策を徹底するとともに、社員に対してもセキュリティ講習を実施して、必要な知識を身に着けてもらうことが大切となります。
ABWとフリーアドレスの違い、そして賢い選択方法とは?
ABWは、しばしばフリーアドレスと同じと認識されていることがありますが、実際には違うものです。
●ABWとフリーアドレスの違い
ABWとフリーアドレスでは、“目的”が異なります。
ABWは、社員一人一人の業務パフォーマンスを上げるためのワーキングスタイルであるのに対して、フリーアドレスは、部署を超えたコミュニケーションや偶発的な出会いを目的としたオフィススタイルです。
つまりフリーアドレスは、自宅やカフェ、コワーキングスペースといったオフィス外での業務は想定されておらず、またオフィス内においても、テレキューブやファミレスブースといった、様々なタイプの業務スペースを作るといった要素は基本的に含まれません。
●どちらを選ぶべきか?
ABWが良いか?フリーアドレスがよいか?の選択は、現在の働き方によって異なります。
例えば、現在リモートワークを本格的に導入していて、管理の仕組みやツールも揃っているという企業であれば、ABWもスムーズに進められるでしょう。
一方、フル出勤の固定席を長く続けているという企業の場合は、急に色々なことが自由になると、社員がそれに順応できず戸惑ってしまう可能性もあります。
まずはフリーアドレスを取り入れてみるという方が良いかもしれません。
小規模オフィスでも取り組めるABW、4つの導入ポイント
Webサイトなどで“ABWスタイル”として紹介されているオフィス事例を観ていると、ABWは大企業や広いオフィス向けなのでは?と感じる方も多いと思います。
しかし実際には、小規模オフィスでもABW型オフィスを作ることは可能です。
ここからは、小規模オフィスがABWに取り組むためのポイントをご紹介します。
●スペース効率の良いレイアウトにする
小規模オフィスでは、スペース効率が大変重要になります。
まずは今のオフィスの利用状況を見直し、有効に使われていないスペースを洗い出してレイアウトを組み直しましょう。
●座席数を減らす
限られた敷地面積の中で様々な業務スペースを作る場合、社員数分の座席数を確保することは難しくなります。
リモートワークや時差出勤などを積極的に取り入れるとともに、1日にあたりの出勤人数を制限するようにしましょう。
●業務場所を複数確保する
オフィスの出勤しない日でも、全社員が快適な環境で業務に取り組めるように、オフィス以外の業務場所を作りましょう。
カフェやコワーキングスペースはもちろんのこと、自宅もその一つとなるように、ワーキングデスクやチェアなどの設備投資資金をサポートすることも検討しましょう。
●活用方法を社員へ浸透させる
ABW型オフィスを有効に活用するためには、ABWとは何か?新しいオフィスをどのように活用してほしいと考えているのか?といったことを、全社員へきちんと説明するようにしましょう。
最後に、弊社が手掛けた中・小規模オフィスにおけるABW型オフィスデザイン事例を3つご紹介します。
ABW型オフィスデザイン事例①:機能性も追求した快適空間
こちらは、2フロアに渡るオフィスをABW型にリフォームした事例です。
最初に旧オフィスの活用状況を見直した上で、無駄になっていたスペースなどを洗い出す事ことから始めました。
特徴的なのは、救護室があること。社員のウェルビーイングの重要性が高まる中、今後必要とされる設備だと言われています。
個室になっているので、TV会議用ブースとしても活用可能です。
※詳細は、こちらの事例記事をご覧ください。
「居場所を選べる快適空間!ABWスタイルのオフィスデザイン事例」
ABW型オフィスデザイン事例②:オープンなカフェ風空間
こちらは、天井をスケルトンにした開放的なABW型オフィスです。
オープンな空間に円卓席やカウンター席があり、会議室も普段は業務場所として開放されています。
また興味深いのは、エントランスにも一人用のブース席を作っていること、メインの業務スペースと完全に切り離されているので、個人業務に没頭したい時にはぴったりの場所です。
※詳細は、こちらの事例記事をご覧ください。
「イメージはニューヨークに佇むカフェ…。お洒落で開放的なオフィスデザイン」
ABW型オフィスデザイン事例③:対照的な2つのエリアに分かれた空間
こちらは、自社ビルオフィスの中の営業フロアをリフォームした事例です。
ワンフロアが2つのエリアに分かれており、一つはオープン席などもある木目調のオープンで明るい空間で、もう一つは個別ブースやファミレス席などもあるグレーを基調とした落ち着いた空間です。
個人ロッカーなども完備されており、必要に応じて座席が選べるようになっています。
※詳細は、こちらの事例記事をご覧ください。
「ABW・素材感・造作家具etc…こだわりの詰まったオフィスリフォーム事例(前編)」
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