オフィス管理責任者必見!今更聞けないABWの意味・効果・実践法を徹底解説!
従来の島型対向式レイアウトから、偶発的な出会いを生むランダムなレイアウトへ、
部署毎・チーム毎に集められた固定席から、毎日好きな席を選べるフリーアドレスへ、
“もっと自由度の高いオフィスにしたい”と考える企業が増えているように感じます。
これは、少子高齢化による労働生産人口の減少や、ICT・テクノロジーの進化といった時代の流れを受けて、情報処理型業務を減らし知的創造型業務を増やしていくという、働き方の変化が大きく影響しているではないかと思います。
そんな中、新しいワークスタイルとして最も注目されているのが「ABW」です。
今回はこのABWについて、具体的な意味や取り入れる目的、導入方法などを解説したいと思います。
ABWを初めて聞いたというオフィス管理責任者の方や、言葉は聞いたことがあるけど具体的には知らない…という方は、ぜひご参考にご覧ください!
新しいワークスタイル“ABW”とは?
ABWとはActivity based Workingの略称で、仕事の内容に合わせて、働く場所や時間を自由に選べるワークスタイルのことです。
オランダの Veldhoen + Companyが創設し、その後オーストラリアのナショナルオーストラリアバンクやGoogleやアクセンチュアといった外資系企業で取りれられてきました。
ABWは、ワークスタイルの変化が遅いと言われている日本企業でも注目されるようになっているのですが、それは昨今の働き方改革が大きく影響していると思います。
ABWは、“柔軟な働き方がしやすい環境整備”“ダイバーシティの推進”といった、働き方改革の取り組みをまさに体現したものです。
さて、ABWが示す多種多様なワークスペースとは具体的にどのようなスペースなのでしょうか?
創設社である Veldhoen + Companyによると、仕事内容は大きく10の活動に分類することができ、それに応じたオフィススペースを作ることだと言います。
<ABWが定義する10の仕事>
・高集中:高い集中レベルが求められる個人作業スペース
・コワーク:メンバーと軽い会話などを交えながら個人作業を行うスペース
・電話・WEB会議:スクリーンを通じてコミュニケーションを取れるスペース
・2人作業:2人が横並びで業務を行うスペース
・対話:少人数で軽いミーティングを行うスペース
・アイデア出し:3人以上で協働活動を行うスペース
・情報整理:3人以上で計画の整理や議論を行うスペース
・リチャージ:仕事から開放されてリラックスするスペース
・専門作業:特定の設備を必要とするスペース
例えば、高集中スペースにおいては下記のような環境が求められると考えられます。
・1人で業務を行うので、一人分づつデスクが分かれている方がよい
・長時間作業を行う可能性が高いので、機能性の高いイスが望ましい
・隣や対面の人と目線が合わないような個室ブースやパーテーションが好ましい
・静かな環境が望ましい
このようにABWでは、それぞれの仕事内容に適したスペースをオフィスの中に作り、その時々に応じて場所から場所へと移動しながら業務を行います。ただ、業種や部門によっては必要となるスペースの種類は変わりますので、それは個別にアレンジする必要があります。
ABWとフリーアドレスの違い
ABWについて説明していると、よく質問されるのがフリーアドレスとの違いです。
大きなくくりで考えると、フリーアドレスはABWの中の一つといえるのですが、決定的な違いは“目的”にあります。
フリーアドレスは、オフィス面積の縮小やペーパーレス化などといった“コスト削減”が主要目的となるのに対して、ABWは“社員の生産性”や“クリエイティビティ向上”が目的となります。
前記した10の仕事、これら一つ一つの業務において必要な広さ、オフィス家具、アイテム、設備、好ましい周囲環境は異なります。
例えば、リチャージスペース。これは、社員が業務から開放されてリラックスする場所なので、より開放的な広さが必要です。周りにいる人間を気にせずゆっくり休憩するには、席と席の間の距離を広く確保しておく必要があります。この余白を非効率と捉えず、リチャージスペースとして必要な空間と考えるのがABWなのです。
ある調査によると、フリーアドレスもABWも“席を選べる”という点ではどちらも自由度が高く、従業員の仕事への意欲は高まる傾向にある一方、フリーアドレスは、限られた場所の中で自席を確保しなければならない心理的ストレスが大きくなったり、結局固定化された席に座るようになるため、コミュニケーション活性化という狙いが外れているケースも多いようです。
業務時間の中では、他者とのコミュニケーションが必要な時もあれば、静かな環境で集中することが必要な時もあります。
従業員にとって居心地の良い環境を整えて生産性をアップさせるには、ABWのようにケースに合わせて選べる様々なデザインのスペースを用意しておくのが最適だと言えます。
ABW導入を成功させるための6つのステップ
ABWは、とても魅力的なワークスタイルですが、突然導入すると戸惑う社員も多いようです。ABWの良さを最大限活かして成功させるためには、ステップを踏んで進めていく必要があります。
<ABW導入ステップ>
まず、自社における仕事内容を前記の“10の仕事”の中からピックアップする
↓
それぞれの仕事が占める時間や、必要な広さなどを割り出す
↓
今のオフィスにおいて無駄なスペースと、追加する必要のあるスペースを明確にする
↓
それぞれのワークスペースを理想的な形にデザインする
↓
マネジメント方法の変更や必要な業務管理システムなどを明確にする
↓
ABWによるワークスタイルのトレーニングを社員に行う
ABW成功のポイントは、一気に変えようとせず少しづつABWに慣れていくこと、またルールや仕組みなどのPDCAを回し、その会社にとって最適な方法をブラッシュアップしていくことにあります。
ABWというワークスタイルが向くオフィス・向かないオフィスとは?
ABWというワークスタイルが、すべての会社にとって最適な仕組みというわけではありません。
ABWが向いているのは、下記のような会社です。
・社員一人一人の業務内容が多岐に渡っている
・各プロジェクトによって関わるメンバーや人数が変わる
・クリエイティビティが求められる
反対にABWが向いてないのは、下記のような会社です。
・研究や開発が中心業務
・業務管理システムを導入していない
・従業員数が少ない
その会社にとってベストなワークスタイルというのはそれぞれ違うもの、また事業内容や組織体制によって日々変化していくものです。
それぞれの会社にとってベストな環境を整えるには、そこで働く社員にヒアリングするのが一番です。定期的にオフィス満足度調査や意見交換会などを行うことがとても大切です。
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